ミラノを拠点に活動する廣瀬智央の1990年代から2020年までの仕事を俯瞰する初めての作品集です。
彼の作品は、レモンや豆をはじめとする日常の素材を用いて、豊かさと貧しさ、ミクロとマクロなど相反する要素が共存する詩的な表現で知られています。親しみやすく、端正で美しい表現には、長く異なる文化圏で暮らす彼の人生と、イタリアのアルテ・ポーヴェラと日本のもの派という2つの美術運動の遺産を受け継ぐ美術家としての意志が交差しています。
2020年夏、日本の美術館では20年ぶりに開催された個展「廣瀬智央 地球はレモンのように青い」には、会場となったアーツ前橋の入場記録を塗り替える、多くの若い観客が詰めかけました。複雑で矛盾を抱える世界に向き合い生きることを問いかける彼の作品は、これまでに増して注目されています。
本書は同展のコンセプト・ブックとして企画、刊行されました。作家自ら、作品を6つのセクションに分けオールカラーで紹介するbook Ⅰ、エッセイや評論、インタビュー、作品解説などのテキストをまとめたbook Ⅱからなる2冊組。植物やモノなど人間以外の存在のための家をつくる彼の「家シリーズ」に倣って、この2冊のための「家」としてのフェルト製ブックケースに収納されています。
著者:廣瀬智央
寄稿:住友文彦、アンジェロ・カパッソ、五十嵐純、アルベルト・フィオーレ
造本デザイン:秋山 伸(edition nord.)
サイズ:148×210mm、A5判
112ページ・カラー(book Ⅰ)、98ページ・2色(book Ⅱ)、2冊組、フェルトケース入、日英バイリンガル
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